出典: フリー多機能辞典『ウィクショナリー日本語版(Wiktionary)』
漢字
- 形声。「貝」+音符「㬰 /*KUJ/」。「高価な」を意味する漢語{貴 /*kujs/}を表す字。[字源 1]
- 『説文解字』では「貝」+「臾」と分析されているが、金文の形を見ればわかるように、これは誤った分析である。
- なお、音符となっている「㬰」は籠を象る象形文字で、漢語{簣 /*ɡrujs/}を表す字。
- ↑ 李守奎 「《説文》古文字楚文字互証三則」 『古文字研究』第24輯 中国古文字研究会、中山大学古文字研究所編、中華書局、2002年、470-471頁。
徐宝貴 「金文研究五則」 『古文字學論稿』 張光裕、黄徳寛等主編、安徽大学出版社、2008年、97-101頁。
蘇建洲 「《楚居》簡9“(⿱⿳⺊日八土)”字及相關諸字考釋」 『楚文字論集』 蘇建洲、万巻楼、2011年、321-342頁。
季旭昇撰 『説文新証』 芸文印書館、2014年、525-526頁。
「貴」を音符とする形声文字 (諧声域=*KUJ)
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見母 |
溪母 |
匣母 |
影母 |
曉母 |
疑母
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一等 |
平声 灰韻
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鞼膭 |
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上声 賄韻
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- |
㚍 |
䜋 |
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去声 隊韻
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憒 |
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潰繢嬇殨闠膭僓䜋 |
靧𩔁 |
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入声 沒韻
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見母 |
溪母 |
匣母 |
影母 |
曉母 |
疑母
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二等 |
平声 皆韻
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-
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上声 駭韻
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去声 怪韻
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嬇簣嘳蕢墤 |
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- |
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聵
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入声 黠韻
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見母 |
溪母 |
群母 |
影母 |
曉母 |
疑母
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三等A |
平声 微韻
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上声 尾韻
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- |
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去声 未韻
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貴瞶 |
䙡 |
- |
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入声 物韻
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見母 |
溪母 |
群母 |
影母 |
曉母 |
疑母
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三等B |
平声 脂韻
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-
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上声 旨韻
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去声 至韻
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嘳樻䯣䰎䙡 |
匱蕢臾饋𦆠櫃樻鞼簣 |
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入声 質韻
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- 高価な、値段が高い。
- 去年米貴闕軍食,今年米賤太傷農(杜甫『歲晏行』)
- 昨年は米が高かったので軍では食を欠くことがあり、今年は米が安く農家は被害を受けた。
- 財産を多く有する。
- とうとい。えらい。身分、地位、価値が高い。
- とうとぶ。重んじる。大切にする。大切だと見なす。
- (化学)金属の電位や耐性が高い。
- 第二人称に関する敬称。
貴 (き)
- (電気化学) ある電極の電極電位が相手となる電極や基準となる電位よりも高いさま。
- 2010年、国土交通省「機械工事塗装要領(案)・同解説」[1]
- 加温は腐食を促進する。使用範囲としては40℃以下が望ましく、また約60℃で極性が逆転(めっき層が鋼より貴な電位をもつ金属となる)することがあるので注意が必要である。
- 2020年、中小企業庁「サポイン技術紹介」[2]
- バリアー効果によりニッケルの酸化が防止される。貴なニッケルめっき皮膜により、超薄・高耐食性を実現
活用と結合例
各活用形の基礎的な結合例
意味 |
語形 |
結合
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推量・意志 |
貴だろう |
未然形 + う
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過去・完了 |
貴だった |
連用形 + た
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否定形 |
貴でない |
連用形 + ない
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自動詞化 |
貴になる |
連用形 + なる
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言い切り |
貴だ |
終止形のみ
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名詞化 |
貴なこと |
連体形 + こと
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仮定条件 |
貴ならば |
仮定形 + ば
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様態 |
貴そうだ |
語幹 + そうだ
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- (むち) 神や人を敬ってつける語。
貴 *
- 値段が高い
- 中国人の姓のひとつ。
貴 *
貴 *
- 高価な、貴重な
字典掲載
康熙字典
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1206ページ, 15文字目
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諸橋大漢和辞典 (修訂第2版)
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36704
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新潮日本語漢字辞典 (2008)
|
12254
|
角川大字源 (1992)
|
9638
|
講談社新大字典 (1993)
|
16285
|
大漢語林 (1992)
|
11002
|
三星漢韓大辞典 (1988)
|
1669ページ, 5文字目
|
漢語大字典 (1986-1989)
|
6巻, 3632ページ, 9文字目
|