もの

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モノ も参照。

日本語[編集]

名詞:物[編集]

もの

  1. 姿すがたかたちのあるまとまり。ひとつの意味を持ったまとまった存在
    1. 商品衣服、食べ物などを漠然と指す。
    2. 所有物、所属物。
      • 人のものをかってに使うな。
    3. 商品製品
      • ものがいい。ものが違う。
  2. 転じて、実際には存在しないが、頭の中で考えられる存在。
    1. 言葉、道理世事文章作品学問知識ことがらなどを漠然と指す。
      • ものを言う。
      • ものの分かった人。
      • ものには順序がある。
      • ものを書く。
      • ものを知っている。
      • もの知り
    2. 習得によって水準に達した状態
      • ものになる。ものにする。
    3. 困難難敵
      • ものともしない。
  3. 妖怪怨霊など。
    • ものにとりつかれたように没頭している。
  4. (法律) 物権、端的には所有権客体となる有形財。ものと区別するために、慣行的に「ブツ」と読むことがある。
  5. (接尾辞的に)
    1. その分野種類に属する事物など。
      • 推理もの。五年ものの酒。瀬戸
    2. 相当する事物
      • 懲戒もの。ノーベル賞もの
    3. 動詞連用形について、行為の対象や生成物。
      • 食べ。履。焼き。作り
  6. (「ものの」の形で連体詞的に)ほんの。わずかの。
    • ものの五分とかからなかった。

発音[編集]

語源[編集]

古典日本語もの」(物) < 古代日本語 mönö < 日本祖語 *mənə

関連語[編集]

熟語[編集]

翻訳[編集]

名詞:者[編集]

もの

  1. ひと。(尊敬語には使わず、かたを使う。謙譲語には使われる。形式名詞または接尾辞として用いられる)

発音[編集]

複合語[編集]

類義語[編集]

  • ひと
    「者」は「人」に比べ、ある行為をする主体を抽象的・一般的に表現する場合に用いられる。

翻訳[編集]

名詞:形式名詞[編集]

もの

  1. 事物について、同じ言葉の繰り返しを避けるために代名詞的に用いる。
    • この行事は市及び市内各校のPTAが主催するものだ。(「もの」=行事)
  2. (ものだ)それが当然である、そのような性質を持っている、といった意味を表す。
    • 子供は落ち着きがないものだよ。
    • 多量の摂取によって疾病が治癒するというものではない。
  3. (ものだ)社会的常識を伝えることによって、アドバイス命令などを行う。また戒めや後悔の気持ちを表す。
    • 受験生は夜遅くまで勉強するものだ。
    • 人をからかったりなどするものではない。
    • 雨の日に出かけるものじゃないな。全身ぐっしょりだ。
  4. 強調を表す。
    • そのような行為が二度とあってはならないと固く誓うものであります。
    • 子どもが行きたい行きたいとせがむものだから根負けしてしまいまして。
  5. 詠嘆のニュアンスを表す。
    • ずいぶんと大人になったものだなあ。
    • 大したものだ。立派なものだ。
    • ろくなものではない。ひどいものだ。
    • 平和が長く続くことを願いたいものだ。
    • 墨塗り箇所の多さを見れば、役所が情報開示にいかに後ろ向きか分かるというものだ。
    • 記者会見で厳しい質問を浴びせる記者はほんの数人程度のものだ。
    • 先生の言うことぐらい聞けないものかね。
  6. 過去習慣行為回想的に表す。
    • 小さい頃は河原でよく遊んだものだ。
  7. 感じられる部分、感覚といった意味を表す。
    • そこを指摘されるとこちらもつらいものがある。
    • 理不尽なものを感じる。
  8. 水準程度同等といった意味を表す。
    • シベリアの寒さはこんなものではない。
    • ひどいなんてものではない。(ひどいという言葉では足りない、あまりにひどすぎる、といった意味)
    • 勝っても負けても似たようなものだ。
    • 実質、会社の金で遊びに行ったようなものだ。
  9. (可能形+ものではない、など)不可能であることを強調する。
    • まともに食えたものじゃない。
    • 何をするか分かったものではない。
  10. (ものか、など)反語を強調する。
    • 誰がやるものか。
    • そんな話があってたまるものか。
  11. (したものか、などの形で)妥当適切といった意味を表す。すべきか、するのがいいか。
    • いったいどうしたものか。
    • お茶に招かれたのだが、手ぶらで行ったものかどうか迷う。
  12. 詳しい内容や事情を表す。
    • この問題は、タクシーから売上金を盗んだ疑いで、先月、警察が大学生を誤って逮捕したものです。
  13. (もので)後に続く語句に文修飾副詞的にかかる。〜ことに。
    • 早いもので、故右大臣さまがお亡くなりになられて、もうかれこれ二十年に相成ります。(太宰治「右大臣実朝」)
    • 助手は教授の命令のままに、腹壁を開いて、手早く、腹部内臓の切り出しに取りかかりました。京山は、はじめはおそろしいような気になりましたが、段々見ているうちに、不思議なもので、何ともなくなりました。(小酒井不木「稀有の犯罪」)
  14. (ものとみえる、ものと思われる、など)様子、推測内容といった意味を表す。
    • 示談が成立したものと見られる。
  15. (ものとする、など)規定、決定事項などを表す。
    • これにより示談が成立したものとする。

関連語[編集]

動詞[編集]

ものするする

  1. 詩文などを作る。

活用[編集]

助詞[編集]

終助詞接続助詞[編集]

もの

  1. 詠嘆のニュアンスを表す。もんから
    • あなたは学校の成績がいいものね。
  2. 理由を示す。もん。から。
    • だって前から買いたかったんだもの
    • そうおっしゃるけど、その時私は家にいなかったんだもの
    • あなたはよく働くもの、きっとうまくいくでしょう。

複合助辞[編集]

副助詞「」+格助詞「

  1. 格助詞「の」の機能に加え、数量が多いことを表す。

古典日本語[編集]

名詞[編集]

もの

  1. (現代語語義1,2,3)物。
  2. ひともの
  3. あるところ

語源[編集]

古代日本語 mönö < 日本祖語 *mənə

発音[編集]

二拍名詞三類(?)

助詞[編集]

もの

  1. 感動・詠嘆を示す。~からなあ。
  2. (上代語)終助詞。逆説的に感動・詠嘆を示す。~のになあ。
  3. (近世語)終助詞。接続助詞。理由を示す。~から

接頭辞 [編集]

もの

  1. 形容詞や形容動詞に付いて「なんとなく」の意を表す。