不世出

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日本語[編集]

名詞[編集]

  (ふせいしゅつ)

  1. 滅多に出ることのない程に優れていること。

発音(?)[編集]

ふ↗せ↘ーしゅつ

関連語[編集]

対義語[編集]

出典[編集]

史記巻92・淮陰侯列伝第32

【白文】
韓信曰、「漢王遇我甚厚。載我以其車、衣我以其衣、食我以其食。吾聞之、『乘人之車者、載人之患、衣人之衣者、懷人之憂、食人之食者、死人之事』。吾豈可以郷利倍義乎」。
蒯生曰、「足下自以爲善漢王、欲建萬世之業。臣竊以爲誤矣。始常山王・成安君、爲布衣時、相與爲刎頸之交、後爭張黶・陳澤之事、二人相怨。常山王背項王、奉項嬰頭、而竄逃歸於漢王。漢王借兵而東下、殺成安君泜水之南、頭足異處、卒爲天下笑。此二人相與、天下至驩也。然而卒相禽者何也。患生於多欲、而人心難測也。今足下欲行忠信以交於漢王、必不能固於二君之相與也。而事多大於張黶・陳澤。故臣以爲足下必漢王之不危己、亦誤矣。大夫種・范蠡、存亡越、覇句踐、立功成名、而身死亡。野獸已盡、而獵狗亨。夫以交友言之、則不如張耳之與成安君者也。以忠信言之、則不過大夫種・范蠡之於句踐也。此二人者、足以觀矣。願足下深慮之。且臣聞、『勇略震主者身危、而功蓋天下者不賞』。臣請言大王功略。足下涉西河、虜魏王、禽夏説、引兵下井陘、誅成安君、徇趙、脅燕、定齊、南摧楚人之兵二十萬、東殺龍且、西郷以報。此所謂功無二於天下、而略不世出者也。今足下載震主之威、挾不賞之功。歸楚、楚人不信、歸漢、漢人震恐。足下欲持是安歸乎。夫勢在人臣之位、而有震主之威、名高天下。竊爲足下危之」。
【訓読文】
韓信曰く、「漢王、甚だ厚くす。我を載する其のを以てし、我にするに其のを以てし、我に食はしむるに其のを以てす。聞く、『人の車に乗るは、人の患ひを載せ、人の衣を衣る者は、人の憂ひいだき、人の食を食ふ者は、人のす』と。吾、豈に以てむかひ義にそむけむや」と。
蒯生曰く、「足下自ら以為おもへらく漢王に善くして、万世げふ建てむと欲すと。ひそかに以為へらく誤てり、と。始め常山王・成安君、布衣りしともに刎頸の交はりを為せど、後に張黶・陳澤の争ひ二人うらむ。常山王、項王に背き、項嬰のかうべささげて、竄逃し漢王にす。漢王、を借りて東下し、成安君を泜水の殺し、頭足、ことにし、つひ天下笑ひ為るの二人相くみするは、天下の至驩なり。然り而うしてに相とりことするは何ぞや。うれひは多欲より生じて、測り難ければなり。、足下、忠信行ひ以て漢王に交はらむと欲するも、必ず二君の相与するより固きこと能はざるなり。しかるに事は張黶・陳澤より多大なり。故に臣以為へらく、足下漢王の危ふくせざるを必とすることも、亦た誤てりと。大夫しょう范蠡はんれいほろびし越を存し、句践[1]たらしめ、立て名を成すも、ぐ。野獣すで尽きて、猟狗らる。交友を以て之を言はば、すなはち張耳の成安君に与せしことにかざるなり。忠信を以て之を言はば、則ち大夫種・范蠡の句践に於けるに過ぎざるなり。此の二人の者は、以て観る足る。願はくは足下、深慮せよ。つ臣聞く、『勇略ふるはす者は危ふくして、功、天下をおほふ者はせられず』と。臣、大王の功略を言はむことを請ふ。足下、西河をわたり、魏王をとりことし、夏説かえつとりことし、兵を引き井陘を下り、成安君をし、趙をとなへ、燕を脅かし、斉を定め、南のかた楚ひとの兵二十万をくじき、東のかた竜且りょうしょ殺し、西にむかひて以てず。此れ所謂いはゆる功は天下に二つ無くして、世に出でざる者なり。今、足下、主を震はすのいただき、賞せられざるの功をさしはさむ。楚に帰せば、楚ひとぜず、漢に帰せば、漢ひと震へ恐る。足下、していづくにか帰せむと欲す。夫れ勢ひ人臣に在るも、主を震はすの威有り、名は天下に高し。竊かに足下の為に之を危ぶむ」と。
【現代語訳】
韓信は言った、「漢王(=劉邦)は私を非常に厚遇してくれる。私を車に乗せる際にはご自身の車を用い、私に衣服を着せる際にはご自身の衣服を用い、私に食事を振舞う際にはご自身の食事を勧める。私は次のように聞いている、『他者の車に乗った者はその人の心配事を引き受け、他者の衣服を着た者はその人の悩みを共有し、他者の食事を食べた者はその人のために命を懸けるものだ』と。私はどうして、利益を追求して信義に背くことができようか」。
蒯生(=蒯通)は言った、「あなたは漢王に尽くして、末代まで残る偉業を築くおつもりでしょう。私が密かに思いますに、それは誤りです。常山王(張耳)と成安君(陳余)は、庶民であった頃から互いに刎頸の交わりを結んでいましたが、その後張黶・陳澤の事件で仲違いし、二人は互いに恨むようになりました。常山王は項王(=項羽)に背き、項嬰の首級を引っ提げて、逃れて漢王に帰順しました。漢王は彼の兵を借りて東方を攻め、成安君を泜水の南にて殺し、(成安君は)頭と足を切断され、ついに天下の笑い者となりました。この二人の仲は、この世で最も親しい部類のものでした。それなのに、最後には互いに捕らえようとするに至ったのは何故でしょうか。災いは深い欲望から生じ、人の心(の変化)は予測がつかないからです。今あなたは、忠義を実践して漢王と親しくなりたいのでしょうが、この二人(=張耳と陳余)より固い仲にはなれるはずがありません。しかも、事は張黶・陳澤の事件よりも重大なのです。だから私が思いますに、漢王が自分に危害を加えるはずがないというあなたの考えも、また誤りなのです。大夫しょう范蠡はんれいは滅亡に瀕した越を再興させ、越王勾践を覇者とし、功績を立て名を成しましたが、その身は殺され、あるいは逃亡しました。野獣が狩り尽くされると、猟犬は煮殺されるのです。そもそも交友という見地から申し上げれば、(あなたと漢王との間柄は)張耳の成安君に対する関係に及びません。忠義という見地から申し上げれば、大夫種や范蠡の勾践に対する態度ほどではありません。この二人(大夫種と范蠡)の事例は、参考にする価値があります。どうかあなたにおかれましては、このことを深く考慮なさって下さい。それに、私は次のように聞いております、『勇気知略が主君を震え上がらせるほどの者は、その身を危険に晒す結果を招き、功績が天下を覆うほどの者は、かえって恩賞を得られない』と。私は、大王(=韓信)の功績を挙げてみるとしましょう。あなたは西の黄河を渡り、魏王(=豹)を捕虜とし、夏説を捕虜とし、兵を率いて井陘を下り、成安君を誅殺し、趙を撃破し、燕を脅かし、斉を平定し、南方に進軍して楚の大軍二十万を破り、東方に進軍して(楚の将軍)竜且りょうしょを殺し、西方に向かって(成果を漢王に)報告なさいました。功績は天下に二つとなく、知略は世にも稀とは、まさにこのことです。今あなたは、主君を震え上がらせるほどの威勢を持ち、褒賞できないほどの功績を挙げております。楚に味方しても楚の人は信用せず、漢に味方しても漢の人は恐れおののくでしょう。あなたは、このような状況のまま、どちらに味方するおつもりなのですか。そもそもお立場は臣下の位にありながら、(あなたは)主君を震え上がらせるほどの威勢を持ち、その名は天下に響き渡っております。(私は)密かにあなたのために、これを危ぶんでいるのです」。

中国語[編集]

形容詞[編集]

(bùshìchū)

  1. 非常に優れた。

脚注[編集]

  1. 越王勾践を指す。