出典: フリー多機能辞典『ウィクショナリー日本語版(Wiktionary)』
お 教科書体
書き順
- 歴史的仮名遣いのをおよび語中・語尾のほを、現代仮名遣いではおと表記する。ただし、助詞のをはおとしない。
お【尾 歴史的仮名遣い;を】
- 脊椎動物の後肢より後方(頭部の反対側)にある脊椎の一部。特にそれが筋肉等を伴い後肢より外部に突き出たものをいう。尻尾。
- 脊椎動物以外の動物で、後肢の後方に突き出たもの。
- 運動するものが、後ろに引きずっているもの。(例)彗星の尾。
お
- をの異表記。
- 右算用高、金お四分ニ割り、一分ハ大村の村瀬(三英)が出したり。(略)のこりハ溝渕と龍馬が二ツ割ニして出すはずなり。然るに龍馬も今日ハ金がなけれバ其尻りハ伊藤先生おわづらハせんとす。(坂本龍馬「手紙 慶応二年十二月二十日 伊藤助太夫あて」)
- (御)和語あるいは和語化した漢語に付けて、丁寧あるいは尊敬を表す。
- 一般には丁寧であるが、人に属するものであれば尊敬を表す。 注: この場合、意味の違いは無く、生産的であるため、ウィクショナリーでは立項しない。
- 一部の語では、意味が変化しているか、意味が狭くなっている。
- 一部の語は省略に由来するため、お の有無で意味が異なる。あるいは、そもそも対応する語が存在しない。
- 一部の語は、語の短さのために単独では お がある語を用い、複合語では お がない語を用いる。意味に違いはない。
- 一部の語は、お がある語が普通であり、ない語はぞんざいである。
- 一部の語は、古い丁寧の接頭辞 み を含むものにさらに お を付けたものである。
- 動詞の連用形に する と共に用いて、聞き手の利益になる動作を表す謙譲語を表す。
- 動詞の連用形に になる と共に用いて、尊敬語を表す。
- (古用法、方言) 動詞の連用形に る と共に用いて、尊敬語を表す。活用は上一段・下一段活用に準じる。
- 「(略)あまり別嬪さんじゃけれ、学校の先生方はみんなマドンナマドンナと言うといでるぞなもし。まだお聞きんのかなもし」(略)「そのマドンナさんがなもし、あなた。そらあの、あなたをここへ世話をしておくれた古賀先生なもし――あの方の所へお嫁に行く約束が出来ていたのじゃがなもし――」(略)「ところが、去年あすこのお父さんが、お亡くなりて、――それまではお金もあるし、銀行の株も持ってお出るし、万事都合がよかったのじゃが(略)つまり古賀さんがあまりお人が好過ぎるけれ、お欺されたんぞなもし。それや、これやでお輿入も延びているところへ、あの教頭さんがお出でて、是非お嫁にほしいとお云いるのじゃがなもし」(夏目漱石「坊っちゃん」)
- 動詞の連用形に だ、です と共に用いて、尊敬語の進行相を表す。
- 動詞の連用形に ください と共に用いて、尊敬語の依頼または命令を表す。
- (古用法) 動詞の連用形に なさい と共に用いて、下位に対する丁寧な命令を表す。
- (なさい の省略)動詞の連用形に付いて、下位に対する丁寧だが尊大な命令を表す。
- 名詞に様またはさんと共に用いて、尊敬語を表す。どちらが欠けた語形も存在しないことがある。
- お姫様。
- お内裏様とお雛様。
- お嬢さん。
- お父さん。
- お孫さん。
- 一部の形容詞又は形容動詞について、丁寧又は尊敬を表す。
- 「お高いんでしょう?」「いえ、お安く提供させていただいています」
- 私の婆様ほどお美しい婆様もそんなにあるものではございませぬ。(太宰治 『葉』)
- (用法)名詞や動詞に比べると接続する形容詞・形容動詞は限定される。
- 人や物の積極的な(良好な)価値評価に係るものに接続する傾向があるか?
- 若い→お若い、早い→お早い/遅い→×お遅い、美しい→お美しい/醜い→×お醜い
- (例外)
- 屹度どこか身体がお悪いんですよ。(豊島与志雄 『変な男』)
- そんな人々に、何故貴方は謡曲がお嫌いですかと聞くと、誰でも先ず第一に、私には解かりませんからと云う。(夢野久作 『謡曲黒白談』)
- 今も、それを独り思い耽っていたところへ、法音比丘尼が話しかけて来たのである。おさびしかろと問われて「否」と答えたのは、正直な返辞なのであった。(吉川英治 『源頼朝』)
- 一部の形容詞又は形容動詞について、強調を表す。
- それはおやすい事です。私に会いたいのならいつでもお目にかかります。(倉田百三 『出家とその弟子』)
- 結果的に生じたのは、DOSマシンの最先端から比べればかなり貧弱な機械に法外な値札がついた、お寒い日本市場の現実だ。(富田倫生 『青空のリスタート』)
- もしお高くとまって、来るの来ないのといったら、張飛がひっさげて参るとも、なんの造作はあるまいに(吉川英治 『三国志 孔明の巻』)
- ご(御): 漢語に用いる。ただし漢語でもおを用いるものがある。
お - 【小、少 歴史的仮名遣い:を】
- 感情的に「小さい」「少し」といった意味を表す。例の他、地名・姓に残る。
- Unicode
- 16進: 304A
お
- 10進: 12360
え
- JIS X 0208(-1978,1983,1990)
- Morse: .-...